複雑化・高度化する中等教育への対応(探究学習)
- 4月4日
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更新日:5月19日

文科省は、「自ら学び、自ら生きる力」の育成を目的に、探究学習を推進しています。探究学習は、正解を教わるのではなく、自ら答えを求める学びで、これまでの教育スタイルの対局に位置付けられます。つまり、日本の学校教育では未体験ゾーンであり、各校の創意工夫が求められている段階です。今回は、探究学習における教員と学校が果たすべき役割について考えます。
■探究学習の特徴
探究学習は2002年に導入された「総合的な学習の時間」をベースに、2022年に高校で「総合的な探究の時間」に名称変更して必修化されました。
探究学習は、生徒が自ら「問い(課題)」を見つけ、その解決に向けて主体的に情報を収集・分析し、周囲と協力しながら答えを見つける学習活動ですが、従来の学校教育と大きく異なる点が2つあります。
(1) 教科の枠を超える
(2) 教員が答えを教えない
これらが学校運営にどう影響するのかを考えてみます。
■教科の枠を超える
生徒が立てる「問い」は実社会の課題なので、教科の枠がないのは当然のことです。しかし、学校の授業は教科縦割りで動いています。逆にいえば、学校は教科の枠を超えた授業を運営するノウハウに乏しいのです。
探究学習を担当する教員は、教科の後ろ盾や教師用指導書もなしで、一人の人間として生徒に向き合うことになります。その結果、その教員の探究学習に対する姿勢、社会課題の関心領域とその度合、生徒との信頼関係などの個人的属性によって、探究指導のレベルに大きな格差が生じることになります。
標準化された教科教育と違って、探究学習は指導教員の属性に左右され、その指導品質にバラつきが生じるのです。
■教員が答えを教えない
もともと正解がないのが社会課題ですから、探究学習に正解はありません。教員が答えを教えようにも、答えがないのだから教えようがありません。
しかし、これまで日本の学校では、いかに正解に速くたどりつくかを教えてきました。教員も生徒をいかに効率的に正解に導くかを研究してきました。それが探究学習では、教員も生徒も答えがない問題に取り組むのですから、教員が戸惑うのも理解できます。
この疑問に対して、教員は探究学習では伴走者(ファシリテーター)の役割を担う、という考えがあります。では、全ての教員がファシリテーターになれるのでしょうか。ファシリテーターには、場の雰囲気づくりに始まって、論点の整理、目標の設定など議論をコントロールするスキルが求められ、一定の訓練は必要になります。
■「なーんちゃって探究」にしないために
表面的な浅い問いになっている、ネットで調べた資料をコピペして終わり、報告会の資料はきれいだが熱量がない・・・。これらは「なーんちゃって探究」です。一応探究学習の手順は踏んでいるけれども、本来の考える力の養成にはほど遠い活動になっています。
「なーんちゃって探究」になってしまったのは、教員にも責任があります。問いのテーマ設定の段階、先行研究の段階、仮説設定の段階、アンケート設計の段階・・と、それぞれの段階で適切な指導を行えば、もっと中身の濃い活動にできます。
教員が探究学習の各段階で適切な指導を行うためには、教員には調査・研究に必要な情報を収集・分析・評価し、活用するための基礎能力(リサーチリテラシー)が不可欠と考えます。多くの教員は大学でリサーチリテラシーの科目を履修していないと思いますので、各校で研修の機会を設ける必要があります。
探究学習も授業の一環ですので、学校は一定の授業品質を担保する責任があります。すなわち、各校ではこれまでの探究学習の成果や課題を総括し、教員研修の実施、外部ネットワーク構築、教員用指導ガイドライン作成など、探究学習を充実させるための取り組みが必要だと考えます。



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