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俊敏でしなやかな組織づくり

  • 5月4日
  • 読了時間: 5分

更新日:5月19日



複雑化・高度化する中等教育に対応するためには、さまざまな課題に対して、学校全体で、計画的に、継続的に取り組むことが求められます。しかし、既存の学校組織でこのような活動を展開することは至難の技です。というのも、学校組織は「定められた時限内に、教えるべき知識を、いかに効率的に教えるか」という発想で作られているからです。

文科省は、学校に対して「知識偏重の受動的な学習」から「課題解決の能動的な学習」への移行を示していますが、その受け皿となる学校組織のあり方には言及していません。すなわち、各校は自らの創意工夫によって、既存の枠に収まらない新しい教育に対応できる組織を開発しなければならないのです。


■学校は組織づくりが苦手


学校は、校務分掌と年間行事予定で動いていると言っても過言ではありません。担任や教科主任などが任命され、日々のやるべきことが決まっていれば、校長がいちいち指示をしなくても、半ば自動的に学校は回っていきます。これを可能にしているのが、文科省が定めた学習指導要領と、教科教育のプロフェッショナル教員の存在です。加えて、学校組織は、校長・教頭以外は横一線の「鍋蓋組織」といわれるように、教員一人ひとりが一国一城の主であり、自己判断で仕事を進めることを容認する風土があります。

しかし、これらは「教員主導で知識の伝授を効率的に行う」ためにできあがった仕組みです。文科省が指し示す新しい教育、すなわち「生徒主体の能動的な学習」を行うには、学校全体で取り組み方針を意思統一し、授業や探究学習のスタイルを研究することが必要になり、従来の「決められた手順を回す」組織では対応できません。

これからの学校組織は、校長が定めた方針を受けて、各部署が相互に連携しながら機動的に動き、自分たちで教育ノウハウを開発・蓄積できる組織を目指すべきではないでしょうか。以下に、こうした「俊敏でしなやかな組織」に変革するヒントを3つ提示します。


■白兵戦から組織戦へ


まず、これからの組織は特定のSuper Teacherに頼ってはいけない、ということです。どの学校にも授業が上手な先生や、進路指導が得意な先生など、特定領域で力を持っている教員がいます。そのほかには、どんな仕事も厭わずに引き受けたり、昼夜を分かたずに仕事に没頭したりするなど、犠牲的精神で学校を支えている教員もいます。

学校としてはありがたい存在ですが、一部のSuper Teacherに依存した組織運営は危険です。それは、Super Teacherがいなくなったときのダメージもさることながら、「組織の総合力」という観点から考えると答えは明らかです。たとえば、50名の教員がいて、そのうち他の教員の1.5倍の力を持つSuper Teacherが5名いるとしましょう。一人ひとりの力を1とすると、この組織の総合力は50+2.5=52.5です。一方、全教員をエンカレッジして10%の力を引き出すのに成功すると、この組織の総合力は50×1.1=55になります。

学校方針で定めた方向に全教員のベクトルを合わせ、能力開発の機会を設けて組織の総合力を高めるアプローチをとれば、無理なく、継続的に組織を動かすことができます。これからの学校組織は白兵戦から組織戦になる、という認識が重要です。


■野球組織からサッカー組織へ


次に、教員の役割を固定しないことです。教員の仕事は、大きく授業、担任、分掌、部活動顧問に分けられます。これら4つの仕事は、ある意味型が決まったルーチンワークなので、経験を積み重ねることでスキルアップしていきます。

ところが、新しい教育には決まった型が確立していません。探究学習を例にとると、教科ごとの授業の組み立てや、総合的探究の時間での指導方法などを各校が模索している段階です。

学校でこれまでになかった取り組みを行うときには、委員会や研究会を接地することが一般的です。しかし、教員は前述の既存の仕事を優先させ、新しい取り組みに時間と労力をかけようとしません。守備位置が決まっている野球組織のように、教員が自分で守備範囲を決め、なかなかそこから出ようとしないのです。新しい教育は、誰が球を取るかが決まっていないので、誰かが手を出さないことには前に進みません。

これからの学校組織は、守備と攻撃が目まぐるしく入れ替わり、全員で守り、全員で攻めるサッカー組織のように、教員が自分の持ち場に固執せず臨機応変に動ける組織が理想です。


■足し算発想から引き算発想へ


そして、最後は業務負荷の軽減を行うことです。教員の働き方改革は期待通りの成果をあげておらず、教員は依然として日々仕事に追われています。そういう状況の中では、新しい仕事に取り組もうという気になれないのも理解できます。

既存の仕事に新しい仕事を足していくと、いずれ教員がパンクするか、仕事の手抜きが起きるかのどちらで、いい結果にはなりません。そうではなくて、新しい仕事を1つ加えるときには、既存の仕事を1つ減らすという「引き算」の発想が大事です。

教員の仕事に意味のない仕事は1つもありませんから、学校で仕事をなくすのは大仕事で、ましてや担当教員自らが「この仕事をやめる」と言い出すことはありません。業務の整理ができるのは、全校的な立場から優先順位を判断できる校長だけです。

教員が新しい取り組みに前向きになるためには、たとえば校外学習をなくす、講習や補習をアウトソーシングする、部活動指導員を雇う、といった業務負荷を減らす手立てが不可欠なのです。

 
 
 

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