自校の強みを磨く

■はじめに
これまで私立学校は、一定数の受験生を確保できる環境下で、教育内容や施設の充実、進学実績の向上などにより、学校の魅力を高める努力をしてきました。
しかし、受験人口が縮小する時代を迎え、もはや保護者は「何でもあるが、特別に秀でたものはない学校」には魅力を感じなくなっています。
保護者は複数の学校の違いを比較するだけでなく、「この学校のこの点が良い」とその学校独自の価値を認めて初めて出願するようになりました。こうした保護者の選択行動の変化に対応するためには、まず自校の強みを見出し、次にこの強みに磨きをかけなければなりません
■「強み」と「特徴」は異なる
「あなたの学校の強みは何ですか」と聞かれたら、どう答えますか。
たとえば、伝統校である、大学付属校である、独自の教育プログラムがある、校舎が新しい、駅から近い、部活動が全国大会の常連である・・・、という答えが想定されます。
しかし、これらは、学校の特徴を説明しているだけで、強みではありません。
強みとは、他校にも存在する可能性のある特徴の中から、保護者や受験生が「ぜひこの学校に入りたい」とその価値を認めたものです。つまり、強みは学校側の認識で決まるのではなく、保護者の評価によって初めて成立するのです。
■「強み」を発見する
本稿では、私立学校における強みを「保護者が価値を認め、その学校を選択する大きな要因となった特徴」と定義します。そうすると、自校の強みを知るには、直接保護者に聞くしか方法はありません。
保護者の意見を聞く一番確実な方法は、入学者へのアンケート調査です。アンケート設計にあたっては、学校が強みと思っている項目を体系的に分類し、保護者がどの項目に価値を見出したのかが分かるようすることが重要です。
そのうえで、最も価値(魅力)があると思った項目を3つ選ばせるとか、自由記述で補足させるなどで、保護者の本心に迫るのがいいでしょう。
■学校と保護者の認識ギャップ
アンケートを実施したら分かりますが、学校が力を入れている項目と、保護者が価値を感じている項目は、必ずしも一致するとは限りません。学校が熱心に広報している項目が保護者には評価されていなかったり、逆に学校が普段意識しないで行っている項目が保護者には魅力的に映っていたりすることがあります。
学校が良かれと思っている内容を発信するのではなく、保護者に響く内容を発信したほうが効果的なことはいうまでもありません。
ところで、私立学校は文科省や監督官庁の指導下にあり、一般企業と比較して経営の自由度は高くなく、他校との差別化を図ろうとしても自ずと限界があります。したがって、保護者が認めている強みを見出し、その強みを大事に育てていくのが差別化を図る現実的なアプローチです。
■「強み」を磨く
自校の強みが分かったら、まず学校説明会やホームページなどでは、強みに焦点をあてた広報を行います。その際、強みの本質を探り、保護者に分かりやすいストーリーを用意するといいでしょう。
たとえば、「生徒がのびのびしている」が強みであったときに、ストレートに「本校は自由な校風です」と説明しても保護者に響きません。
「本校では生徒が自分で考えて決め、行動する場面を意図的に多く設けています。その結果、学校生活の中で生徒がこのような姿を見せています」と説明して、「学校行事に主体的に取り組む姿」や「失敗を成長の糧にした姿」を見せれば、「のびのび」が具体的なイメージで保護者に伝わります。
次に、強みを継続させ強化する取り組みも重要です。上の例でいえば、自分で考え行動する生徒を育てるために、探究学習に力を入れることが強みの強化につながります。そのために、施設・設備の充実、専門スタッフの採用など、経営資源を投入して生徒が探究学習に打ち込む環境を整備する取り組みを行うことが考えられます。
このように、自校の強みの発見・強化は入試広報の見直しにとどまらず、少子化時代の学校経営の根幹になると言っても過言ではありません。




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